謎の地下街のオバチャンの店
何かの飲み会があり、その二次会でどこに行こうかと、同じ職場のＯさんと話していた時でした。Ｏさんが、昔よく行った「おばちゃん」の店があるから行ってみようというのです。随分前によく行った店で、まだあるかどうかわからないが、とりあえず行ってみよう、なかったら別な店に行こうというので、ついていく事にしました。
Ｏさんについていくと、ガード下に、地下に向かって入る階段があるではないですか。私は一瞬目を疑いました。もう何十回、何百回とここを通っていましたが、こんな階段があるなんて気づきませんでした。私はＯさんの後をおそるおそる降りていきます。階段をおりるとそこはまるで防空壕のようなところで、天井が低く、薄暗く狭い通路が迷路のように這っていました。その通路の両側に、のれんがかかっていたり、赤ちょうちんがぶら下がっていたりしている場所があります。私は驚きのあまり目をまんまるにしてしまっていました。まるでパラレルワールド。地下の秘密都市といったところです。
Ｏさんは、「あの店まだあるかなぁ?」と不安な様子。しばらく歩いてからＯさんが叫びました。
「おおっ、まだあったよ!!」
店の扉をガラガラッとあけると、かなり年配のオバチャンがいて(客は一人もいない)「んまぁぁぁ!!お久しぶり〜!!」と、オバチャンの方もおさんを覚えていたようでした。見ると、3〜4人しか座れないカウンターがあり、店の奥の方では、小さな炊飯器が湯気を吹いていました。カウンターに座ると、オバチャンがおしぼりをくれました。しかし、これが、普通の飲食店などでよくだされる袋にはいったやつではなく、そこらへんに積んであったタオルをオバチャンが魔法瓶のお湯で湿らせて絞っているという素朴（？）なものでした。
飲みながらオバチャンと何気なく話をしていると、「孫が成人式で....」などと言っています。いったいこの人いくつなのだろう??
しばらく飲んだら、カラオケを!という事になったのですが、このカラオケが凄い。今時、静止画像だぜ。しかも、歌っていると、時々、画面がグチャグチャになって、突然止まります。「あらあら、このところ調子わるいのよね」と、カラオケの機械をたたくオバチャン。結局、電源をオフにして、入れ直すと元に戻るのですが、また数曲歌うと同じ症状がでて、また電源を落として入れなおす。とまあ、こんな調子。
なんやかやいいながら、その店には結構長居してしまいました。途中からＫさんもやってきました。別に打合せしていたわけでもないのに、たまたま「こんな」店でばったり会っちゃったのです。狭い店ですから、当然カウンターには座れず、そこらへんに置いてあった椅子をもってきて座るといった感じで、結局、10人くらいが六畳くらいの広さの場所で飲んでいました。
まあ、誰が好き好んでみんなしてこんな店に?と思うかもしれなません。けれども、一度行ってみると、また行きたくなるんだよね。カラオケが途中で止まっても許せてしまう。なんか、いい味出してるんだよねぇ。