【2003年1月6日(月)】
年のはじめに
今年は何年ぶりかで仕事のない年末年始を過ごした。ゆっくり帰省も出来たし、よい正月だったと思う。年末にむけて怒涛の忙しさで、食事をする暇もない程だったので、正月休みも最後の５日の日曜日、休みも終わり、明日からまた怒涛の毎日が始まるかと思ったら、なんとなく落ちつかなくてしょうがないので、近所の神社まで歩いてお参りにいってみることにした。そこへは、ずっと田んぼの中のあぜ道のようなところを歩いていく。ほとんどひとけもなく、まわりは森で静かなところだ。気がかりなことはいくらでもあった。どうしてもうまくいかないことが山ほどあるし、それが今年はどうなっていくのだろうか？明日から何をしていけばこの状況を切りぬけていけるだろうか？とか、そんなことをずっと考えながら歩いて神社までいった。なんとなく重苦しい気分だった。とりあえず、お参りをすませて、ふりかえって、歩きはじめたら途端になんだか気分が軽くなった。
数年前に、年末にかけて仕事がどうしようもなく大変で、次から次へと予期せぬトラブル続きだったことがあった。その時は、なんとか正月休みはとれたのだが、結局、家族全員インフルエンザで寝込んでしまい、帰省の予定もキャンセルになったことがあった。そんなこんなで、なんだかついてないな、と思いながら、その正月は、ひたすら一人（家族はみなインフルエンザで寝てた）で近所の神社を歩いてまわって（ほとんど一日中歩いていた））同じようなことを考えていたことを思い出した。とにかく、ついてない。何も信じられない。どうして何事もうまくいかないのだろうか？などと、考えつつひたすら歩いた。歩くことでなにか状況が改善すればいいが、とか、そんなことを考えていた。そして、ふと立ち寄った神社で、お参りをして、お札を買ったら、「どうぞ」といって、そこの神社のおばあさんがミカンをくれた。それがとっても嬉しくて、そこから家まで帰るのに、なんだかニコニコしながら帰って、妻に、「ほれ、これ貰ったよ」といって見せたのを思い出した。あの時も大変だったなと。それで、その大変だった年、正月休みの最後の日に「おみくじ」をひいてみたんだっけ？末吉だかなんだかが出たんだが、そこに書いてあったことばに思わずひれ伏しそうになったのを思い出した。それは、だいたいこんな内容だった。
着たいものが着れないとか、食べたいものが食べられないとか現状の不平不満ばかりいうのでなない。神は人をこの世に高天原を築くためにつかわした。人はそのために一生懸命働くべきであり、そうすればおのずと道がひらけるであろう
というものだった。単に「不平不満をいわずに働け」といっているようにも思えるが、その時の私には何故かとても感じるものがあった。不平不満を述べてばかりでは、何も進展しない。たとえば、冬は寒い。だからといって、寒い寒いといってばかりだったり、あるいは暖かくなればいいのに、って思っているばかりでは、なんにもならない。昔は冬になれば食べ物もなくなるし、それは大変だっただろう。しかし、それに不満ばかり述べていてはなんにもならず、秋の間にしっかりと冬支度をし、一生懸命働いておくことが、冬を幸せに過ごすことにつながるのだと。
その時、自分自身を振り返ってみると、それまでは、自分のおかれた立場なり、状況なりに不満を感じていてばかりだった。その不満をなんとかしたいと、そればかり考えていた。しかし、今、自分は何をしなければいけないのか？それが大事であり、それに向かって一生懸命になること、本当に大事なのはそれだということを教えてくれたような気がした。そして、その年は結局、色々あったけど、とても記念すべき年になった。ふりかえってみると、その年が一つの転機になったともいえるよい年だった。
昨年暮れあたりから、何か楽しいことがあると、誰にというわけでもないが、「ありがたいことだ」と思うようになった。楽しいのは自分が楽しくしようとしたからではなく、まわりの人やモノから色々な楽しさをもらっている。それはありがたいことだ。そう考えるようになった。子供と遊んでいると楽しいのは、子供から楽しさをもらっている。自然の中を歩いて楽しいのは自然から楽しさをもらっている。それがあることがありがたいことであり、だから、一生懸命生きることが出来る。
帰り道もまた、その、森にかこまれたあぜ道を歩いて帰った。そこは私のお気に入りの散歩コースである。去年の暮れは本当に忙しくて、大好きなその散歩道を歩くことが出来なかったから、余計にそこを歩くことが出来て嬉しいと思った。なんか、あこがれの人に久々にあったような、会いたくて会いたくてしかたなかった恋人にあったような、そんな気がした。同時に気分がとても落ち着いた。年の始めのいい散歩だった。家についたら日が暮れかかっていて、だいぶ暗くなっていた。そして子供達と正月休みの最後を楽しんだ。正月休みは子供らと本当によく遊んだな。
翌日は朝とても早く起きて出勤しなくてはならなかったので、子供達より早く寝ることにした。さて、明日からまた頑張らなくては。寝る前に子供らに、「しばらく忙しくてあまり一緒に遊べないかもしれないけどいい子にしてるんだよ」と言って寝室に向かった。なんか嬉しかった。
楽しいことに感謝しつつ、一生懸命頑張ろう。新年にそう思った。さて、そんな風にずっとマジメに頑張れるかな？ま、いずれにせよ楽しい一年にしたいものだ。