久々の散歩は秋の色
まだ、残暑は続くとはいえ、暑い暑い夏が去った。８月は忙しかったり、台風の影響で天候不順だったりで、結局、散歩道にきたのは３回だった。最初はアブラゼミやニイニイゼミが鳴く中を、そして、ミンミンゼミが主流になり、ツクツクホウシへとかわっていくのが、今年はよくわかった。日暮れ前のヒグラシの合唱も。例年、私はイベント盛りだくさんの８月なのだ。今年もそれなりに充実した８月だった。だが、心残りといえば、結局、散歩道には３回しか出掛けられなかったということだろうか。まあ、それでも、夏の風景と音は今年も体に染み込ませることができた。夏の散歩道の思い出も少し蓄積されたかな。
さて、９月に近くなって、一気にセミが静かになり、かわりにコオロギたちの声が賑やかになってきた。音の風景も季節とともにうつりかわる。
今日は、朝から稲刈りのお手伝いに行く予定だったが、朝、雨の音で目覚めた。これでは今日は稲刈りは出来ないだろうと、また寝てしまった。雨は昼前には一旦あがった。夕方近くなってから散歩道に出掛けることにした。久々なので、少しウキウキした。毎週毎週ほとんど欠かさず歩いている私が、こんなに日にちがあいたのは久しぶりかもしれない。なんとなく散歩の筋肉が衰えたのか、以前からあまり調子のよくない膝が痛い。
散歩道は雨上がりでもあり、湿った香りがする。そして、秋の虫たちの声に囲まれる。今年はもう、稲刈りがだいぶ進んでいる。７月、８月が異様に暑かったこともあって、生育が早いのかもしれない。少し見ない間に、すっかり秋の草花に入れ替わっている。今日は見るものが多いぞ。
アカガエルの沼方面にいくと、水路のそばでアカガエルが跳ねる。随分大きくなったものだ。ほとんど大人のサイズに近くなってきた。なにより、ジャンプ力が凄い。陸に上がってまもないころは、小さなバッタが跳ねるくらいだったのが、いまでは、これはまぎれもなくカエルだ。ピョンとひとっとびで草むらの中に消える。だから、写真がなかなか撮れない。
半分稲刈りの終わった田んぼでは、キジバト夫婦が仲良く何か探しながら歩いている。そういえば、最近、うちの庭にもキジバトがよく来るようになった。キジバトはとっても穏やかそうな仕草で、見ているとなんだかやさしい気持ちになる。鳴き声もとってものんびりと、私は大好きだ。
田んぼのほとりには、ツリガネニンジンが沢山さいていた。可憐な花だ。淡い色の花をそのまんまの色で写真に撮るのは大変難しいが、この花も色が淡いので、写真に撮るとただの白い花のように見えてしまう。本当は、少し青味がかっているのだが。
土手にはどういうわけか、ヤブランがニョキニョキとやたらとあちこちで咲いているのが見られた。こんなに多かったっけ？去年はあまりみかけなかったヤブランだが、もしかしたら、去年の夏の天候不順となにか関係があったのかな？今年はとにかくヤブランが多い。そして、センニンソウ、これもよく目に付く。
土手の穴からコオロギがひょっこりと顔を出しているのを見つけた。近づくと引っ込んでしまうかとおもって、おそるおそる近づいたのだが、引っ込む様子もない。
こっちに気付いていないのかな？そんなことはないと思うが。草むらを歩くと、エンマコオロギがピョンピョン跳ねるのによく出くわす。彼らはかなり大きく、色も茶色なので、ちっちゃなアカガエルかと見間違える。だが、アカガエルの方は、すでにもう随分と大きくなっており、跳ね方はコオロギの比ではない。
くねくね峠道を越えるとき、木々の間から見える田んぼのあまりの綺麗さに立ち止まってしまった。こちら側は林の中なので暗い。そのくらいところから明るい田んぼが光って見える。まさに黄金色というのはこういうことだと思った。
手前の田んぼはもう稲刈りがすんでいて、ここも稲刈りしてもよいくらいだが、このところの悪天候で稲刈りを延期しているのだろう。おかげで、こんな素敵な光景が見れてよかった。
くねくね峠をいくと、あちこちにツルボがピンクの花を弾けさせている。花火がぱっと弾けたようなそんな花だ。大きさがまちまちで、ちっちゃいのは本当にかわいらしい。
くねくね峠道から西のメイン通りを歩いていたら、黄色い花が道の真ん中や道端に沢山咲いている。何気なく、近寄ってみていたのだが、なっている実をみているうちに、「あれ？これはどこかで見たことがあるぞ」と思った。
なんとなくそんな気がしただけだったのだが、花を触りながら考えていたら、ふと思い出した。そういえば以前の日記で、コートに草の種がついていたということがあった。あの時、とっても不思議な形をした草の種はこれだ。ピンときた。そうか、あの種は庭に蒔いたぞ。あとで、これと同じ花が庭から出ているか見てみよう。
しばらくいくと、天気がわるいから雨宿りしているのか、ナミアゲハが手が届きそうな場所でじっとしているのを見つけた。
薄暗いところで少し風があったので、ゆらゆらとゆれてうまく写真に撮れない。せっかくだからフラッシュを使うことにした。ちょっと眩しいかもしれない。ごめんね。
去年、やっと一つだけ花を見ることが出来たヤマホトトギス。今年はツボミを沢山みつけたぞ。もう咲いてしまうな。来週の週末まで待ってくれないかな？
さて、久々の散歩だった。とにかく季節がずっと進んでしまったので見るものが多すぎた。でも、満足だ。秋の音と香りを思い出した。生活のリズムから散歩が少しはずれかけていた私だが、また、もとの散歩道との穏やかで幸せな日々が戻ってくることだろう。かわいていた私の体に少しまた散歩道のエキスが染み込んだようだ。やっぱりこの散歩道を歩くことはやめられない。暑い夏が終わり、これから次第に寒くなり、暮れ行く日々。それもまた楽しい。